30JUN.2018@第52回JBCF西日本ロードクラシック広島大会, JPT #11

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第52回JBCF西日本ロードクラシック広島大会
– 広島県中央森林公園サイクリングコース –
12.3㎞/9周 110.7km


 

1位 窪木 一茂 (チームブリヂストンサイクリング) 02:46:39  av39.85km
2位 横山 航太 (シマノレーシング) +00:00
3位 小野寺 玲 (宇都宮ブリッツェン) +00:00
4位 アイラン・フェルナンデス・カサソラ (マトリックスパワータグ) +00:00
5位 中西 健児 (KINAN Cycling Team) +00:00

21位 米谷 隆志 (LEOMO Bellmare Racing Team) +04:01
32位 才田 直人 (LEOMO Bellmare Racing Team) +09:56
DNF 小嶋 渓円 (LEOMO Bellmare Racing Team)

 


 

島根県益田市で開催された全日本選手権ロードレース大会から1週間後、多くの自転車選手たちが再び中国地方に集結した。第52回となるJBCF⻄日本ロードクラシックは、例年通り広島空港脇の広島中央森林公園で開催。梅雨明け宣言が発表された関東地方から、チームは再び雨の広島に入ることとなった。去年のレースでは才田選手が3位に入り、期待が高まる本大会ではあったが、如何せん雨が不得意な才田選手。期待と不安が取り巻く中でJプロツアー第11戦のレースが始まった。

 

広島中央森林公園内に設置された1周12.3kmのコースを9周回し計110.7kmとなるレース。スタート地点から細くコーナーの多い下り基調が続くジェットコースターのようなコースに、雨、という悪条件。選手たちにとっては厳しいレース展開が予想される。

 

スタートを見送り、再び選手が現れた2周回目の第1コーナー付近。急激に強まった土砂降りの雨と霧の影響で選手の判別がほぼつかない状況。それでもなんとか目をこらして黄色いヘルメットを探す。最初に現れた米谷選手は集団の最後尾になんとか食らいついた状態で通過。その後に少しだけ離れて小嶋選手。さらに後ろの追走集団先頭に才田選手という状況。1周回目からチームの3名にとっては苦しい展開となっていた。
その後のレースは、3名の逃げ集団をメイン集団が追う展開が最終周回まで続き、最終周回のアタック合戦からのスプリントとなったが、チームの3名は後続集団でのレースを余儀なくされてしまう。小嶋選手は6周回目に入るところで赤旗DNS。米谷選手はなんとか21位でのフィニッシュとなり次年の全日本選手権参加資格を獲得。才田選手も雨の上がった後半に折れたココロと脚を再起動し、32位での完走となった。
3人ともに「雨で前が全く見えない、下りが攻められなかった」というのがレース後の感想だった。

 

小嶋選手レポート:
スタートでクリートが上手くはまらず少しポジションを下げてしまったが、ブラーゼンの選手の後ろの位置を確保して、アップダウンで徐々に集団前方まで上がった。3段坂の入口で集団の10番手付近まで一気に上がったが、この時点で脚が一杯になってしまった。3段坂の3段目でペースが上がり、付ききれずに集団からドロップしてしまった。その後、米谷選手が率いる追走集団に合流したが、ホームストレートの後の下りでその集団からも千切れてしまった。そこからは何とか5名程度の集団で付いて行ったが、雨で下りが怖く、後ろで車間を空けて走らざるをえなかった。そのため下りきったところで脚を使って追いつく作業を繰り返すことになりずっとキツいままだった。結果、5周を走ったところで降ろされてしまった。
レース前のウォーミングアップで一気に上げすぎたせいか、スタートしてからのペースがキツく感じた。三段坂の3段目をあと少し耐えればそのまま集団には残れたと思うが、完璧に気持ちが切れてしまい、下りもいつも以上にビビってしまった。ただ、上手くコンチネンタルチームの後ろに付きポジションを落ち着いて上げれたところは良かったと思う。1周目の3段坂のパワーを見ても耐えられる値だったので、アップをしっかりと行い、集中力を欠かさないようにする。

 

米谷選手レポート:
雨が強く、下りがテクニカルなので序盤から集団が分かれる可能性もあると考えていた。下りに入る前に番手をあげられるようにコース右側からスタートした。
下りに入るまでの距離で番手をあげきれず、集団中程で下りに入ったところで中切れが多発、集団がいくつもに分断された。自分も下りが怖く遅い集団を交わすことが出来ず、踏める場所に入る頃には先頭集団は既に見えなくなっていた。
先頭を追う理由のある選手と協調しながら追走し、2周目に入るところで集団に追いついたが、その時には既に逃げが決まっていた状況。逃げに乗せていないブラーゼンから、リオモも集団牽引に1人出せないかと聞かれたが、集団には自分しかいなかったため断るしかなかった。
序盤から中盤にかけては特に雨が強かった。水中で目を開けているような状態で、まぶたが痙攣したようになる。目をしっかり開けていることが難しく、下りが怖かった。車間を空けて走ったため、集団後方で走ることになり、脚を使った。その後は展開が安定していたため集団に動きはなく、坦々と距離をこなした。
終盤にかけて雨が弱まって少し楽に下れるようになり、タイム差から見て残り2周で動きがある可能性が高かったため、ポジションを上げて残り2周の下りに入った。しかし下りの途中で自分の少し前で落車があり、無事かわしたが結局番手を落として三段坂に入った。
三段坂でペースアップがあり、中切れを交わして最後尾で1段目を越えたが、2段目で自分の前の選手が切れ、それを埋めようとしたところで足が攣り、耐えられずに集団から遅れてしまう。集団に残った人数から、全日本選手権参加資格になる30番以内、場合によっては20番以内もありえるかもしれないと考え、落ちてくる選手を回収しながらペースを刻み、21位でゴールした。
下りを上手くこなせなかったことが最大の問題だった。
最初の下りでも前に上がれずにいる間に中切れに巻き込まれ脚を使うことになり、集団に復帰してからも流れに乗って下れずに集団の中に入れなかった。
今回に関しては、原因が2つある。
今年の2月にタイ合宿にいく前に、非常に慎重に下っている時になぜか滑って落車して以来どうしてもコーナーが怖く、特に宇都宮クリテ以来ずっとレースでの急なコーナーを上手くこなせていない。激しい雨が降ったことで今回はそれがより顕著に現れた。
また、雨が強く降ると目が開けられなくなるという、以前からの問題がレースで現れた。練習では過去何度もあり、危険なので一旦止まって対応していた。プールの中で目を開けるような練習をすればいいのかもしれないが、正直なところどうすればいいのか分からない。ひとまず、次に強い雨のなか走るときにはサイクルキャップを使ってみる。
2周目までに集団に追いつけたことは良かった。そもそも1周目の下りでの位置が原因で、追いつくことにかなり脚を使ったが、レースに参加することは出来た。
この日まとまって脚を使った場所では良いパワーは出せていた。1周目の3段坂は自分のベストに近く、距離をこなした後の8周目の3段坂の入り口でもそれなりのパワーを出せた。

 

才田選手レポート:
大雨で下りを前でこなせなかったことで1周目からメイン集団に残れず勝負にならなかった。スリッピーな路面への恐怖心や大雨の影響でコンタクトレンズが浮いてしまうなど、精神的にレースに挑む姿勢になれなかった。
調子自体はそこまで悪くなかったのでグルペットで距離をこなしながらラスト3周でペースアップ。脚としては良い感触でレースを終えたが、レースで勝負をできていない点で最近のレースと同じ課題が残った。チームから出場選手が極端に少ない環境下でAAAAのレースで完走までたどり着いたことが唯一のプラスな要素。

 


 

宮澤監督から
 
全日本選手権の翌週という事で不完全燃焼と心身疲労の選手が分かれると予想。レースランクがAAAAの初日のロードレースは、チームにとっても良いレーススケジュールとなった。
レーススタート後に雨が一気に強くなり、1周目に帰って来た選手を見て心配が的中。米谷のみが前になんとか残る展開だが、ホームストレートで後ろから下に入る走りで期待は出来ず、案の定終盤にドロップ。結果に結びつけられないレースとなった。
下りで遅れない方法を試して行くしかない。そもそもロードレースのスタート地点に立てていないのが問題。下手な選手でも何かしらの方法で良くなる。ダメを繰り返していてはダメ。集団は後ろにいたら誰でもスピードは速いし、速度のアップダウンがあるから、苦手な選手こそ前にいないと何もできない。速度の安定している前で走らないと始まらないと思っている。

 


 

PHOTO REPORT

 

シトシトと雨粒が落ちる中、選手達が到着。
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レース前はまだ小雨状態。選手達にも笑顔が見えるが…
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スタートラインに並ぶ頃から再び雨の勢いが増す広島中央森林公園。選手の背中には「気合」と「雨嫌だなぁ感」が…
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スタートを見送った直後から激しい雨と霧。2周回目に入る選手達の判別まったくつかない中、黄色いヘルメットを頼りに、米谷選手、小嶋選手、才田選手を確認する。
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レース3周回目から4周回目付近。雨の勢いは留まることなく容赦なく選手達に降り注ぐ。目も開けられない程の雨の中、3選手が通り過ぎて行った。雨粒が大きく大量に落ちてくるため、選手にピントが合う前に雨粒に合ってしまう。撮影班も一苦労な場面。
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小嶋選手は耐えきれずに5周回目を終えたところでレースを降ろされた。
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7周回目付近。「このままでは駄目だ」と後続集団から単独で飛び出し、前を追う動きを見せる才田選手。これまでの消極さが消えた瞬間。
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残り2周回。メイン集団から脱落してしまったが、次年度の全日本選手権参加資格30位以内を目指して粘る米谷選手。
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才田選手も一つでも上の順位を目指す。
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9周回のレースを終えてフィニッシュラインを超える2人。米谷選手は全日本選手権の参加資格を得る21位、才田選手は32位での完走となった。
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あまり上手く行かなかった今日のレース、最後は3人の背中でしめます。でも何となく米谷選手だけは笑ってる気がする背中。
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Text: Kensaku SAKAI/FABtroni+camera and Takashi MIYAZAWA, Edit, Photo&Comment: Kensaku SAKAI/FABtroni+camera