23AUG.2020@JBCF群馬CSC交流戦8月大会 Day-2, JPT#07
JBCF群馬CSC交流戦8月大会 Day-2
群馬県みなかみ町/群馬サイクルスポーツセンター
6km/20周回 120km
RESULT
1位 石原 悠希(Hincapie LEOMO Bellmare Racing Team) 2:51:46 ave41.91km
2位 レオネル・キンテロ(マトリックスパワータグ) +00:01
3位 河賀 雄大(eNShare Racing Team) +00:01
4位 小野寺 玲(宇都宮ブリッツェン) +00:01
5位 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ) +00:01
6位 谷 順成(那須ブラーゼン) +00:01
…
13位 門田 祐輔(Hincapie LEOMO Bellmare Racing Team) +00:10
53位 米谷 隆志(Hincapie LEOMO Bellmare Racing Team) +03:22
DNF 小林 弘幸(Hincapie LEOMO Bellmare Racing Team)
DNF 小山 智也(Hincapie LEOMO Bellmare Racing Team)
DNF 永塩 幸之介(Hincapie LEOMO Bellmare Racing Team)
RACE REPORT
2020年Jプロツアーの第3ラウンドとなる群馬2連戦の2日目。Jプロツアー第7戦「群馬CSC交流戦8月大会 Day-2」が群馬県みなかみ町の群馬サイクルスポーツセンターで開催された。Hincapie LEOMO Bellmare Racing Teamからは、米谷・小林・永塩・小畑の国内組4選手と、UCIコンチネンタルチーム(Hincapie–Leomo p/b BMC)に所属する石原・小山・門田の3選手が出場した。
雷雲接近のため途中でレースキャンセルとなった前日のレース。序盤の混沌とした展開を上手く乗り切り、さあ攻撃開始というタイミングでの中断に、表彰台の頂上を狙うチームとしても煮え切らない状態でレースを終えることとなった。その日の夜は宿泊先のバーベキューで気分転換。気持ちを切り替え、再び攻める姿勢でこの日のレースを迎えた。
相変わらず雷マークが点灯し続ける天気予報。10周目完了時以降に天候の急変があった場合、次の周回を最終周回とすることが事前に通達された。山を超えた日本海側には多くの雨雲が見られたが、群馬サイクルスポーツセンター周辺はポッカリと雨雲の穴が空いている状況。強い日差しが降り注ぐ中、1周6kmのコースを20周する120kmのレースがスタートした。
この日のプランも集団前方で展開して序盤の決定的な動きに警戒しつつ、中盤からチームとして積極的にレースを動かすこと。スタート直後から前日と同様にめまぐるしく展開が変わる時間帯が続いたが、門田選手が中心となり、小山選手、米谷選手、そして今日は小林選手も集団前方に躍り出て全ての動きに対応していく。一方、調子が上がらず、序盤からキツイと感じる場面が多かったと言う石原選手は少し控え目な動き。その代わりに小林選手が繰り返し動き、石原選手のパートをカバーする。
9周目付近で5名の選手が飛び出すと、集団はこの逃げを容認。逃げに選手を入れていない宇都宮ブリッツェンがメイン集団のコントロールを開始した。この動きに同調し、チームからも牽引要員を出す。最初は門田選手がコントロールに入り、続いて米谷選手が宇都宮ブリッツェンの前に出ていく。
宇都宮ブリッツェンとHincapie LEOMO Bellmare Racing Teamがコントロールする比較的静かな周回が続いた13周回付近。ここからチームは攻撃に転じる。宮澤監督から米谷選手と門田選手に心臓破りの坂での攻撃の指示が出たが、集団コントロールで脚を使っていた米谷選手は動けない。即座に無線で状況を共有し、米谷選手の代わりに石原選手と門田選手で攻撃を開始した。14周目以降の心臓破りの坂で門田選手と石原選手が波状的にペースアップ。この動きで集団の脚を削っていく。米谷選手もなんとか集団に残り、活性化した集団で2人が対処しきれない動きを潰していった。
残り2周回。ここでHincapie LEOMO Bellmare Racing Teamは再度攻撃を仕掛けた。リフト坂でアタックして石原・門田の最終攻撃のキッカケを作るよう監督から無線で指示を受けた米谷選手が最後の力を振り絞ってアタック。この動きで集団は再び活性化し、チームが求める状況を作り出すことに成功する。
もはや集団をコントロール出来るチームは無く、勝ちを狙う選手が断続的に飛び出す状況のまま入った最終周回。心臓破りの坂でアタックした選手を石原選手がフォローしたところで、集団から10名弱が抜け出すことに成功し、そのままバックストレートまで辿り着く。前回の群馬戦、他選手の動きを待ち過ぎた結果、勝利を逃した苦い経験がある。これを忘れなかった石原選手は、集団が一瞬牽制に入ったタイミングを逃すことなく全力のロングスプリントを開始。単独で飛び出すことに成功し、そのまま先頭でフィニッシュラインを通過した。
振り返ってみると、序盤の混戦を上手くくぐり抜け、中盤の集団コントロール参加、終盤に向けた波状攻撃による有利な状況の構築と、見方は様々あるものの、チームとしてはスタートからフィニッシュまでの全展開を動かし続けることが出来たと言える今回のレース。無線使用の効果や監督の的確な指示という側面的な要因もあるが、一戦一戦のレースを通じ、走りだけでなく、展開を作る姿勢や考え方について着実にステップアップしてきた選手たちの努力の賜物だと感じている。
宮澤監督から
小林が前半のアタックに上手く対応出来ていたのは大きな収穫だった。その中でしっかりと緩急をつけ休める時にしっかり休む事が出来れば、メリハリのある走りが出来るようになる。 小山は前日の走りが良かったので「引き続き」という意味でオーダーを出していなかったが、何をして良いかが曖昧な中途半端な立ち位置にしてしまった。これは監督としての反省点である。 小山はインターバルがかかり続ける後半に入っても力が出せるようになる事が目標。前日と同様の走りが2日目でも出来るかどうかの期待値は高かったが、中盤で集団から遅れてしまったのは残念だった。しかし、これをポジティブに捉え、初日のような結果を出せる可能性を考慮すると、今後に十分期待している。
宇都宮ブリッツェンが今季一番良い勝ち方をした第1戦を想定した展開に持ち込む事は想定しており、宇都宮ブリッツェンがメイン集団を牽き始めるのは分かっていた。そこで米谷を集団コントロールに参加させた。ここから楽な展開にしては勿体ないので、米谷に指示を出し、残り5周の心臓破りでさらにレースを動かすように指示。結果、消耗していた米谷は動けず、代わりに門田と石原が動いたが、チームとしては良いアクションを起こすことが出来た。スローな展開の中で脚を貯めているつもりが逆に疲労が溜まっていると皆感じたと思う。
昨日も今日も集団の中でレースを動かしている選手は決まっていた。それらの選手を疲労させる事により、一見、人数が多く見えていた集団が、実際に積極的に動ける選手の数は非常に少ない集団だった。ここからさらに残り1周半の段階で米谷に動いてもらってレースを動かし、そこから生まれた勝ち逃げに乗った石原で勝負した。石原には残り1kmは自分の好きなように走るよう指示したが、前回、石原は他選手の動きを待つという消極的な判断で勝利を逃している。その反省と経験から生み出されたタイミングの良いアタックによって優勝を手にしたと思う。今日のレース、思うように走れた選手、走れなかった選手と居る訳だが、チームとして、この勝利は非常に良いものとなった。
今まで集団をコントロールしていても、集団前方の位置に入らせてもらえないという謎のレースが行われてきたJプロツアー。皆がロードレースのセオリーをしっかりと理解し始めた事が収穫であり、積極的にレースを動かしているチームが集団内でリスペクトされる事が浸透してきていると思う。石原は勝てるレースで勝った。引き続き、次なる目標をしっかりと持ち、こと国内で走る上では、展開力と決定力、そしてアシスト力を磨く事が大事になると思う。 次は小山、門田、米谷が結果を出す番になってくるだろう。
米谷と門田は次の課題が明確になった。小山は今の調子で1つのレースをしっかりモノにする走りを。小林はもっと粘れる走りの準備を。永塩はチームメイトの近くで走れるようになれば助言も貰えるようになる。そのためには前々で走れる準備を。小畑は粘りの走りを引き続き。石原はレース全体を見据えた展開力を鍛えるために、余裕を持ってアシスト、もしくはエースとしての走りに磨きをかける。広島ではもっと良いレースが出来ると信じている。
米谷 +¥30,000
小林 +¥18,000
永塩 -¥7,000
小畑 ¥0
石原 +¥15,000+¥100,000
小山 -¥5000
門田 +¥5,000
—
宮澤 -¥15,000 (小畑登録ミス)
PHOTO REPORT
今季7戦目のスタートライン。チームは表彰台の一番上を目指す。
レース序盤の小林選手、米谷選手のさらに前方でアタック合戦に対応する走りを見せた。
前日と同様に序盤から前方で走れていたものの、以降は少し精彩を欠いてしまった小山選手。小山への指示が曖昧だったかもしれないと反省の宮澤監督。
若手の2人、小林選手と永塩選手も後続集団での走りを余儀なくされた。
新たな動きを作るべく密にコミュニケーションを取る門田選手と米谷選手。
レース中盤となる8周目付近で4名の逃げが決まると、逃げ集団にメンバを入れていない宇都宮ブリッツェンがメイン集団のコントロール開始した。
ここから米谷選手が集団コントロールに参加する周回が続く。米谷選手が前に出ていることで、門田選手と石原選手は宇都宮ブリッツェンの直後に位置取り、脚を貯めながら次の展開に備える。
攻撃の手を緩めないHincapie LEOMO Bellmare Racing Teamは、終盤に入る14周目辺りから門田選手と石原選手が断続的にアタックを仕掛け、集団の脚を削っていく。
メイン集団で2人のサポートに回る米谷選手。慣れない集団コントロールで思った以上に消耗したと言う米谷選手だが、仕事を終え、メイン集団から離脱した表情には「やり切った感」が溢れているように見えた。
最終周回のバックストレートに現れた先行集団。先頭から3番手の位置で石原選手がスプリントのタイミングを図る。
先行集団が一瞬牽制に入ったタイミングで全力でスプリントを開始した石原選手。見事に表彰台の頂上を勝ち取った。
Text: Kensaku SAKAI/FABtroni+camera × P.A.V. and Takashi MIYAZAWA, Edit, Photo&Comment: Kensaku SAKAI/FABtroni+camera × P.A.V.