10JUN.2018@第2回JBCF那須ロードレース, JPT #10

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第2回JBCF那須ロードレース
– 栃⽊県那須町 –
7.2㎞/15周 108km


 

1位 木村 圭佑 (シマノレーシング) 02:32:08  av42.59km
2位 橋本 英也 (チームブリヂストンサイクリング) +00:00
3位 窪木 一茂 (チームブリヂストンサイクリング) +00:00
4位 吉田 悠人 (那須ブラーゼン) +00:00
5位 アイラン・フェルナンデス・カサソラ (マトリックスパワータグ) +00:00

9位 小嶋 渓円 (LEOMO Bellmare Racing Team) +00:02
35位 米谷 隆志 (LEOMO Bellmare Racing Team) +00:33
DNF 岩瀬 照 (LEOMO Bellmare Racing Team)
DNF 才田 直人 (LEOMO Bellmare Racing Team)

 


 

前日の那須塩原駅から場所を移して黒田原駅前で開催された日曜日のレース。前日とは打って変わって厚い雲が覆う朝の空。提供会社によって異なる天気予報に出来るだけ良い予報を信じたいところでしたが、最初のエリートのレースが始まる前から降り始める雨。天気は一番悪い予報が当たってしまいましたが、レース結果としてもレース中の動きとしてもLEOMO Bellmare Racing Teamにとっては一筋の光がさした第2回JBCF那須ロードレースのレポートをお届けします。

 

前日のクリテリウムで結果を残せなかった選手たち。各々が前日の反省を持ってレースに挑む。

 

岩瀬選手はマッサージと針をいつもより多めにしてもらいストレッチも入念にカラダの状態を上げる。また、前日のウォーミングアップ不足を反省し、今日はしかっりとローラーを回す。才田選手も同様にしっかり目のウォーミングアップ。小嶋選手は「序盤から集団前方で展開をして今日はアタックをしようと決める」と精神的ウォーミングアップ。米谷選手も…と書きたいところですが、チーム内でただ一人ガチガチの緊張状態でレースに挑む男、米谷選手。

 

今日のJプロツアーレースは最終レース。14時過ぎに7.2kmのコースを15周する108kmのレースがスタート。

 

スタート前から珍しく妙に緊張してしまっていた米谷選手。パレード区間で焦ってグレーチングを踏んでしまい一人で落車し前輪をパンクさせてしまう。怪我もなく、車輪を交換してもらって再スタートするも、自分の動きが全く信用できなくなってしまい速度の速い集団と残り2kmのグレーチングのあるコーナーがとても怖く、登りで位置を上げるものの集団の流れに乗り切れず下りで大きく位置を落とす繰り返し。位置を上げるために何度も脚を使い消耗してしまう。頭を冷やすために一旦前に上がるのをやめて集団内で待機。結局流れに乗れず落ち着いて走ることが出来ない。

 

そんな中、集団前方では岩瀬選手と小嶋選手が積極的に動く。

 

岩瀬選手と小嶋選手は序盤から先頭10番手付近をキープしての走り。常にレース展開が分かる位置取りで2人でコミュニケーションを取りながらレースを進める。アタック合戦が続く中、集団前方のいつでも反応できる位置でハイペースの中でも自分たちのリズムを作りつつレース状況を冷静に判断して走る事が出来ていた。
小嶋選手は1周目のパレードが終わり、S/F地点の手前の登りで何名かが飛び出したタイミングが反応する。しかしすぐに吸収されてしまったので次のアタックに反応できるよう集団の10番手で待機。2周目の登りでBSの選手のアタックに反応をしたがこれも下りで吸収された。
岩瀬選手も同様にメンバーの濃い10名程度の逃げに乗っていく。この逃げは1周で捕まってしまうが、その後も有力チームのアタック合戦に混ざり何度も逃げを試みる積極的な走りをみせる。

 

レースは5周目付近から落ち着きをみせる。

 

米谷選手もやっと落ち着き、集団前方に上がって動きに加わる。小嶋・岩瀬の両選手も集団15番手付近の中で走り続ける。6周目に入る手前アタックに米谷選手が入り、そのカウンターアタックには小嶋選手が乗っていく。岩瀬選手も同様に逃げとカウンターに対応していく走りを続けた。7周目に入る手前では、入部選手(シマノレーシング)がアタック。集団が牽制状態となり差が開いたところで米谷選手がアタック。シマノレーシングのもう1名と追走を開始すると集団が少し離れたためそのまま踏んでいく。そのまま動いていったが半周弱で吸収された。

 

レースも残り4周。ここであの小嶋選手に調子に乗ってもよい日がやっと訪れた。

 

残り4周で今日は絶対に行けると確信した小嶋選手。米谷選手に集団前方のポジションを取りたいと伝える。米谷選手も宇都宮ブリッツェンが全員でコントロールに入っていることを確認し、集団スプリントに向けた展開だと予想する。スプリントの展開ならば小嶋選手の方が強く、また自分はすでにかなり消耗していると判断した米谷選手は、小嶋選手のために動くと伝えた。

 

2人は弱虫ペダルの近くで位置取りを開始。そこから周回を重ねる毎に集団はペースアップし始めるがまだまだ余裕のある小嶋選手。今日は調子に乗れる日に違いない。

 

LEOMOの2人は、残り2周あたりから那須ブラーゼンの後方位置を弱虫ペダルと取り合う。人数を揃えた弱虫ペダルに被せられるも大きく位置は落とさず、ポジションを守り抜く米谷選手。そのままの位置で最終周回に入り、小嶋選手の後ろをブロックしながら残り3kmからの登りを越えた。ここで小嶋選手に対するアシストも力尽き、残り2kmからの登りで耐えられずに遅れてゴール。

 

米谷選手のアシストで最終周回の登りを先頭から15番以内でクリアしていく小嶋選手。フィニッシュライン前の登りは10番手をキープし、そこからとにかく埋もれないよう前々で行くことを意識をしてスプリントに向かっていく。残り2kmで橋本選手(チームブリヂストンサイクリング )と木村選手(シマノレーシング)が先行。ここで小嶋選手に痛恨の「躊躇」が到来し2人の動きを見送ってしまう。残り200mでスプリントを開始したがゴール直前の位置取りで脚を多く使ってしまい、スプリントが伸びてこない。ゴール直前で他の選手にまくられ9位でゴールした。

 

レース後の選手コメント:

 

岩瀬選手: 結果DNFとなってしまったがチームオーダである動く事を意識して自分自身満足のいく走りが出来た。Jプロツアーで初めてまともな逃げに乗れて学んだ事(ローテーションで下がる時に前から下がってきた選手にに付くと楽。ペースを作れれば付いていける)などを忘れずに練習で活かして多く逃げに乗れるようになる。集団に戻った時に位置を下げ過ぎてしまいチームメイトがいる前に行くのに脚を使っていたのでそこのロスをなくす。前半動いたとしても、最低完走またはチームメイトのアシストができるくらいの地脚が必要だと思った。小嶋さんがTOP10入りして嬉しかった。自分ももっとアシスト出来るようにならないといけないなと思った。さらに自分がTOP10入りしたいという想いが強くなった。気合いが入り直りもっと強くなりたいと思えたし、逃げなど常に前で走れて経験を積めた良いレースになりました。

 

米谷選手: 今回は、スタート前に意味のないプレッシャーを感じ過ぎたことが全ての失敗だった。前日の走りもあって大村監督代行に今日の結果を期待しているという話をされ、前々で動こうとミーティングもしていた。それをきっかけに自分に嫌なプレッシャーをかけてしまい、緊張をほぐせないままパレードであり得ない転び方をしたところで完全に頭に血が上り、切り替えられないままスタートしてそれを終盤まで引きずった。集団の下りも直角コーナーのグレーチングもとても怖く感じ、コーナーの立ち上がりと登りのたびに脚を使うことになり無駄に消耗させられた。結果としてやりたかったことがほとんど出来なかった。
小嶋選手に「怒られて」切り替えられてからはいつも通りとはいかないまでも普通に集団で走れていたと思う。去年まで出来ていたことをこなしながら言われた事を順番にこなしていけば良いだけのはずなのに、自分の中でプレッシャーの整理がつかず無駄に緊張してしまって普通に走ることすらできなくなった。落ち着いて普通に走るという去年まで出来ていたはずのことが最大の反省点になるという情けないレースだった。
残り4周で切り替えられてから残り2kmまでは小嶋選手と2人でうまく動けたと思う。2人で安定して位置取りできる場所を探して那須ブラーゼンの後ろに落ち着き、人数のいる弱虫ペダルと小競り合いになったがコミュニケーションを取りながら位置を保てた。小嶋選手が9位に入る助けに多少でもなれていれば嬉しい。ただ、残り2kmで耐えられなくなり小嶋選手を1人にしてしまったのは申し訳なかった。また、残り5周あたりから右膝に若干嫌な感覚を感じていたが、あまり悪化せずに終われたのは安心材料になった。十分注意してケアしながら練習する。あとパワー自体はいい値が出ているので調子は悪くないことは確認できた。
去年はチャレンジ以外転ばなかったのに今年は2レース連続で転び、怪我とあいまって思うようなレースができない嫌な流れになっている。2週間後の全日本からはしばらくレースが続くので、一旦忘れて全日本までの間に切り替えて臨みたい。

 

小嶋選手: 前日のレースでは気持ちが途中で切れてしまったがロードは「最後まで絶対に前で勝負する」と思うようにした。また、米谷選手や岩瀬選手ともしっかりとコミュニケーションを取ることができた。特に残り4周回では米谷選手と固まって動いたのでポジション取りが楽でチームとして動けた。
群馬と宇都宮のレースでは3分程度のVO2MAXの強度が弱かったため、その強度でのインターバルトレーニングをしっかりと行った。結果として登りでペースが上がっても問題なくついていけた。下り後のコーナーでも車間を空けても立ち上がりで問題無くつけるので余裕を持って下ることが出来た。その部分も練習で行っている1分のインターバルトレーニングが役に立ったと思う。
いつもは前半は動かず後半に備えるようにしていたが、今回のように前半に沢山アタックをしても案外後半まで持つことが自分なりに掴めたので、チャンスがあれば「目立つので」逃げにも加わりたいと思った。ただ、レース展開が見れておらず、誰が逃げているのかが全く分からなかった。スプリントでは他選手をマークするべきだったが、頭に血が回っておらず、周囲にどの選手がいて誰が1番スプリントが強いかが考えられなかった。調子が良いので、全日本もこのままの流れで行きたい。気持ちで絶対に負けないようレースにのぞみたい。

 

才田選手: クリテリウムもロードも反省は同じ。特にロードはアップもここ最近にはないくらいしっかりやって気持ちを高めて準備したが、パレードの下りで気持ち的に三歩くらい引いてしまった感じ。パワー見ても調子は悪くないし、調子が悪くないだけにこの走りは問題。個人としてはレースに参加していないようなものなので展開がどうのこうのは特になし。米谷、小嶋、岩瀬が寛のアドバイスをしっかり聞いて実行しているのでチームとしての流れは良いと思う。

 

今回は調子に乗れた小嶋選手の活躍が、高校生ライダーにヤル気を芽生えさせた模様です。

 


 

宮澤監督から
 
才田選手と米谷選手を中心にレース後半に勝ち逃げがあれば乗ることを指示。レースは終始上りでの速い展開に苦しんだが、前日のクリテリウムのような全く歯が立たない展開ではなかった。チームとして前半から集団前方でまとまって走り、岩瀬選手は集団のペースアップに前々で動き、体調の悪い米谷選手は小嶋選手と連携しながら小嶋選手の位置取をサポート。集団スプリントとなった展開の中で小嶋選手が9位でゴール。
レース序盤から終盤までチームとしてまとまって走る事が出来たのは良かった。岩瀬選手も自分自身の今出来ることの中で、前半に動くという判断ができたのは良かったが、繰り返し展開に乗れる力をつける必要を感じる。米谷選手の判断で小嶋選手と連携してレース後半まで動けたことも良かった点。小嶋選手の力およばずだったが9位に入る事ができ、これまでで一番良い成績を残す事ができた。才田選手はこの2日間で自身の力を発揮するチャンスを得られなかったのは残念。岩瀬選手はクリテリウムでは速い展開と立ち上がりの中で力を発揮できなかったが、ロードレースでは少なからず今後のレースで結果を残せる「足がかり」は掴んだと思う。レースシーズンも前半戦を終えてしまうが、後半戦での戦い1つ1つに集中して臨んでもらいたい。

 

才田 -20,000
米谷 +4,000
小嶋 +14,000
岩瀬 +10,000

 


 

PHOTO REPORT

 

昨日の晴天+灼熱からうって変わってこの日は雨+低温な天気。テントの下でレースを待つ選手とスタッフ。今週末の監督は大村監督代行。
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若手の2人は雨の中でも元気。結局この2人がこのレースで大活躍だった。
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雨の中でのレーススタート。
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レース序盤の有力選手で構成された逃げ集団に入る岩瀬選手、後ろとの差を確認。
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米谷選手と小嶋選手も集団前方に位置取り。2人ともアタックに入ったりカウンターで動いたりと積極的な走りを見せる。
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雨のレースでの展開に苦しむ才田選手。メイン集団から遅れて必死に追走するも完走ならず。
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レース終盤の登り区間をメイン集団内でこなす小嶋選手と米谷選手。
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ここで遅れて来た岩瀬選手。レース中盤までメイン集団内で積極的に動いたがここで力尽きた。
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逃げ集団を追うメイン集団内の小嶋選手と米谷選手。この後、逃げ集団は吸収されてスプリントとなった。
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お疲れ様なレース後の選手たち。米谷選手の顔面は泥で真っ黒でシクロクロスのよう。もうちょっと上に行けたと悔しさの残る小嶋選手は9位でフィニッシュ。
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9位のポーズしてってお願いしたけどよくわからないポーズで、今日のレースは小嶋選手で〆。
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Text: Kensaku SAKAI/FABtroni+camera and Takashi MIYAZAWA, Edit, Photo&Comment: Kensaku SAKAI/FABtroni+camera