09JUN.2019@第3回JBCFやいた片岡ロードレース, JPT #08

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第3回JBCFやいた片岡ロードレース
– 栃木県矢板市/⽯関周辺特設コース –
10.7km/8周回 85.6km


 

1位 今村 駿介(TEAM BRIDGESTONE Cycling) 1:58:30 ave43.34km
2位 窪木 一茂(TEAM BRIDGESTONE Cycling) +00:00
3位 オールイス・アルベルト(マトリックスパワータグ) +00:00
4位 岡 篤志(宇都宮ブリッツェン) +00:00
5位 横山 航太(シマノレーシング) +00:01
6位 ホセビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ) +00:03

DNF 米谷 隆志(LEOMO Bellmare Racing Team)
DNF 岩瀬 照(LEOMO Bellmare Racing Team)
DNF 岸 崇仁(LEOMO Bellmare Racing Team)
DNF 才田 直人(LEOMO Bellmare Racing Team)
DNF 中川 由人(LEOMO Bellmare Racing Team)


 

今年で第3回を迎えるJBCFやいた片岡ロードレースがJプロツアー第8戦として開催された。やいた片岡のロードレース・コースはS/F地点を擁するJR片岡駅側の周回路と、コース奥側に設定された「コリーナの坂」を含む周回路の2つの周回を一本の対面通行区間で結ぶ「メガネ形状」のコースとなっており、対面通行区間が設置されているために「足切り時間(集団からのタイム差でこれを超えるとレースから降ろされる)」が比較的短いレースとなっている。そのためメイン集団に残る事が最低条件であり、奥側の「コリーナの坂」で繰り返されるアタックの応酬に耐え切らなければリザルトを残す事が出来ない厳しいレースとなっている。

 

前日のクリテリウムは何とか曇りで乗り切ったが、この日は朝から土砂降りな雨模様。前日、クリテリウムでの復帰戦を思いの外な強い走りで乗り切った岩瀬選手と米谷選手だったが、登坂を含むロードレースはまた別物。怪我を悪化させない意味でも落車は避けたい2人にとって雨は厳しい状況。また「気持ちの入っていないレース」をしてしまった才田選手。体調不良でレースを降りる事になってしまった岸選手と、チームとしても不安材料は多い。

 

土砂降りは回避され小雨が降ったり止んだりする中でのレースが始まると、集団前方ではアタック合戦がスタート。中川選手や岸選手も積極的に動きに入るが、逃げ集団を形成するまでには至らない。その後序盤は安定した展開を見せるものの「コリーナの坂」でのペースアップが厳しく、不調を抱えるLEOMO Bellmare Racing Teamには厳しい展開が続く。
米谷選手以外の4選手は4周回目を回ること無く足切り時間オーバーでDNF、一人残った米谷選手もは5周目前半で降ろされてしまい、レース中盤を迎える前に全滅となってしまった。

 
 

PHOTO REPORT


 

当初は曇り予報だったJR片岡駅前の会場だったが、午前中から強い雨が降り続けた。この状況に休み明け選手を2人抱えるチームとしては不安材料が増えるばかり。しかし、選手達はそれぞれ前向きに目標を立てレースに備えていた。
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午前中の土砂降りは回避されたが、まだ小雨が残る中でJプロツアー第8戦となる第3回JBCFやいた片岡ロードレースがスタート。
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1周回目の復路、岸選手が集団先頭で逃げ集団の形成に動く。ここ数戦はレース序盤で積極的な動きを見せる岸選手だが、途中で脚が売り切れてしまうレースが続いている。他のメンバも1周回目は集団内で走る姿が見えたが、岩瀬選手の姿が見えない。

 
 

ブリヂストン孫崎選手とアタックをかける岸選手。
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中川選手と才田選手も集団内で帰ってくる。
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1周回目の復路で遅れて帰ってきた岩瀬選手。故障箇所に違和感を感じたため無理をせずにレースを降りる事にした。
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2周回目往路では集団に大きな動きも無く才田・米谷・岸・中川の4名も集団で戻って来る。しかし2周回目復路ではペースも上がり始め、メイン集団の後ろでは分断が始まりつつあった。

 
 

2周回目往路を集団内で戻って来た中川選手。
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2周回目復路を集団前方で走る米谷選手のチラ見え。怪我明けとは言え集団内に潜むテクニックは戻っている。相変わらず広報班泣かせな米谷選手。
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2周回目復路でメイン集団から遅れ、単独走となってしまった中川選手。
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3周回目に入っても集団前方では大きな動きはない。しかし集団後方は大きく割れ始め、メイン集団で帰って来た岸選手以外の米谷・才田・中川の3選手はそれぞれ異なる後続集団で3周回目の登りに入って行った。

 
 

3周回目の登りへ入る岸選手。辛うじてメイン集団内で戻って来たものの、その走りにレース序盤のアグレッシブさが見えない。
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米谷・才田・中川の順で異なる後続集団で3周回目の登りへ向かう。対面通行部分を含むやいた片岡のコースは足切り時間が極めて短いため、このうち何名が4周回目に戻って来られるか心配になる展開。
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全8周回のうちまだ半分に満たない4周回目。レースは逃げ集団が形成され、メイン集団が追う展開に変わってきたが、コース奥にある「コリーナの坂」に戻って来れたのはメイン集団からさらに遅れた後続集団で走る米谷選手ただ一人だった。

 
 

残り1名となった米谷選手が「コリーナの坂」を進む。
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5周回目途中で米谷選手もレースを降ろされてしまい、LEOMO BELLMARE RACING TEAMの選手が誰一人として戻って来ない「コリーナの坂」に咲く紫陽花。チームにとって結果の中々出ない厳しいレースが続いている。
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RIDERS REPORT


 

才田選手:
雨だったが前日のこともあって気持ちは前向きにスタートできた。例年に比べて登りで余裕がなく、テクニカルな区間で前に上がれなかったこともあり、登りきりでの中切れを埋められなかった。良くないレースが続いているので、うまく立て直す方法を探りたい。

 

米谷選手:
前日の疲労はほぼ無く、クリテを問題無く走れたので、思い切って踏んでみるつもりだった。有力勢の動きを前待ちする形で勝負に残ることが出来れば理想的。ただ、日に日に良くなってはいるが、直前の練習からそれが出来るだけの調子ではないと感じていたので、勝負に残ることは難しいと感じた時点で岸さんか才田さんに伝える事、確実に怪我なくレースを終える事を最低限の目標にした。
スタート直後から特に左コーナーが怖くてリアルスタートまでにかなり後ろに下がってしまった。コリーナの登りでは以前なら問題なくこなせたペースがとても苦しく感じられ、集団の前方に上がることが出来なかった。クリテのようには誤魔化しがきかず、さらにコーナーでも怖がって足を使ってしまって余裕がなくなった。とても勝負できる状態ではないと感じたので、2周目のコリーナ登りで岸さんに無理だと伝えた。動いてみたら踏めるようになる可能性を考えてコリーナからの復路平坦で前に上がって一度カウンターに反応してみたが、その後一気に苦しくなって番手を落としていき、3周目の農道区間からの立ち上がりで中切れを埋められず集団から切れた。1〜2周のうちに降ろされるのは確実なので、練習としてなるべくペースを保って走り、5周目の農道区間終わりで赤旗。
ロードレースを走るのに十分な調子ではなかった。また、ウエット状態でのディスクブレーキとの制動力の差で何度かひやっとした。マージンを取っていたので問題はなかったが、慣れが必要だと感じた。集団から切れる前に岸さんに伝えられたのは一応良かったと思う。あと、現状を確認できた事に意義がある。怪我でどの程度、何を失ったのかはっきりしたので、それを練習に反映していく。ある程度は予想通りとはいえ、こんなにあっさり何もせずに集団から切れるのは久しぶり。強度をかけても肩は大丈夫だという事は分かったので、ここからは練習のペースを戻していけると思う。石川で勝負できる集団に入ることを近い目標にする。

 

岸選手:
やいた片岡のコースは得意なので落ち着いてスタートラインへ。例年と違いマトリックスの外国人勢の存在と、雨で最初から激しくなる事が予想されたので、1周目の登りから集団の前方で動く。しかし焦って動き過ぎた感があり2周目には徐々に集団内で位置を落とし、レース展開が本格化する前に終了してしまった。前半戦で大事にしていたレースだったが信じられない位に走る事が出来なかった。シンプルに疲れが抜け切れておらず、直ぐに心拍と脚が一杯になって戻らない状況が続いている。

 

岩瀬選手:
2日目の朝から怪我していた場所に違和感を感じた。治療してからこれまで違和感が出た事は無かったので嫌な気配を感じ、レースは痛みが出そうだったらすぐに降りると決めてスタート。1回目の登り踏み込んだ時に少し痛んだので1周目でレースを降りる事にした。無理せずレースを降りると割り切った判断が早く出来たことは良かった。高強度運動の影響を医師と相談しつつ、トレーニングを積んでいく。

 

中川選手:
レース前の指示は途中で切れても良いのでチームを助ける動きをする事、そして何か動きを見せる事だった。そのためにはやはり前々で走る必要がある。雨で足切り時間も短いので、最初からレースが動く事が予想されたため、最初から動こうと考えていた。
アップ時間を長めに取ったため、後方からのスタートとなったが、トンネル前で一番前まで上がる事が出来た。そのままリアルスタートと同時に前の選手と一緒にファーストアタックを仕掛けるもすぐに吸収。アタック後は後先考えずに全力で踏まないと決まらない事を実感した。
最初のコリーナ坂を伸びている集団の先頭から最後尾近くまで遅れながらなんとかクリア、そのまま集団の後ろで慎重に下り、スタートゴール前の平坦区間で集団が緩んだタイミングで再び集団前方へ上がった。皆雨で慎重になっているのか思ったより簡単に上がる事が出来た。2周目のコリーナ坂手前で岸さんと米谷さんの後ろに着いた。2人がキツイと話していたので自分もキツイと伝えよう、また出来る事はないか聞こうとしたが出来なかった。そのままキツくてコリーナ坂で遅れた。レース後にデータを見ると重いギアで踏んでいた事が分かったので、落ち着いてインナーに落とすべきだった。その後は数名で回したが3周目の途中で降ろされた。これから続く群馬、東日本トラック、全日本選手権では自分のためにもチームのためにもなる走りをしたい。

 
 

宮澤監督から


 

米谷選手はカラダが重たい中での走りだったが復活に向けて順調だと感じた。正直驚く程に走れていた。ロードは前日の疲れからの回復が出来ていなかったが、2日間のステージで両レース共にチカラを出せる事も課題なので、回復する中で高めてほしい。
中川選手は立ち上がりが苦手なら、コーナーで外側に位置取る事を気づいてほしかった。イン側を走るという事は、外側よりも減速するので、立ち上がりのパワーは外側の選手よりも高くなる。集団後方から前方に上がれなくなった時点でレースを降りても良い結果と言える。ボタンをかけ間違える場所が早すぎた(多分1周目から間違えていただろう)。ボタンはかけ間違えると1周目からレースを走る意味がなくなってしまう事を知る良い機会だった。今後このような事が無いように、何が間違ったかを調べて報告しよう。
岩瀬選手は怪我明けだったが思ったよりも走れたと思う。しかし復帰戦がクリテリウムという点でマイナスの影響が有ったかもしれない。ロードレースでもコーナーの立ち上がりで700W程出ていたので、クリテでも同程度の加速が必要だったと思うが、まだ流れる場所がある分、ロードレースの方が負担が低かったかもしれない。ここは監督の采配が悪かった。
才田選手は一年を通じて同じ様な失敗が多いように思う。頭で考える事が裏目に出ている可能性はある。岸選手は前半戦に結果を出す事を目標にシーズン前から話し合ってきた。これまでのレースとトレーニングを見ていると、年間に大きな山を作れている感じがしないのが不安材料。小手先の上手さも必要だが大きな山を作ってほしい。

 

才田 ¥-10,000
米谷 ¥13,000
岩瀬 ¥13,000
岸 ¥-10,000
中川 ¥-10,000
宮澤 ¥-10,000

 
 

PHOTO OF THE DAY:


 

なかなか良い走りが見せられない才田選手ではあるが、秘めた思いを抱きつつレースに向かう。
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Text: Kensaku SAKAI/FABtroni+camera × P.A.V. and Takashi MIYAZAWA, Edit, Photo&Comment: Kensaku SAKAI/FABtroni+camera × P.A.V.