17JUN.2018@第22回全日本選手権個人タイム・トライアル・ロード・レース大会
第22回全日本選手権個人タイム・トライアル・ロード・レース大会
– 石川県羽咋郡志賀町宿女周辺特設ロードレースコース –
13.1㎞/3周 39.3km
1位 窪木 一茂 (TEAM BRIDGESTONE Cycling) 50’23″92
2位 近谷 涼 (TEAM BRIDGESTONE Cycling) +01’02″68
3位 小石 祐馬 (TeamUKYO) +01’30″09
4位 小野寺 玲 (宇都宮ブリッツェン) +01’36″43
5位 渡邊 翔太郎 (愛三工業レーシングチーム) +01’39″11
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13位 才田 直人 (LEOMO Bellmare Racing Team) +03’13″55
レース当日と前日ともに晴れ渡った石川県咋郡志賀町で開催された2018年の全日本選手権個人タイム・トライアル・ロード・レース大会のレポートをお届けします。LEOMO Bellmare Racing Teamからは男子エリート(ME)に才田選手が出場しました。今回は才田選手と同行した宮澤監督にしっかりとレポートを書いて頂きましたのでほぼそのまま掲載します。
才田選手レースレポート
今年で3回目の参加となる全日本TT。これまでで最も真剣に取り組んだTTのレースになりました。
目標は勝手にライバルと決めたフィッツの香西さん。本番に向けてLEOMO TYPE-Rを使ってデータを取りながら練習を繰り返してポジションを出しました。宮澤監督の車での伴走付きという豪華な布陣でのトレーニング。胸やヘルメットにセンサーを取り付けて角度を測ることで、空気抵抗が小さいかつできるだけ楽にパワーが出せるポジションを探したり。DSSというペダリングのスムーズさを測るスコアで最適なサドル位置を出していったり。ロードバイクに近い動きをキープしつつ、いかに上半身の前傾を深く空気抵抗を減らせるかがポイントでした。
そして会場にはレース2日前の金曜入り。道中で白川郷に立ち寄ったりと精神的なリフレッシュも完璧。本番まで2日もあり試走も入念にできて、踏むところ、休むところの戦略もOK。泊まった宿も良いところでオーナーさんは親切でご飯も美味しく(ジンギスカンが出たり笑)、毎晩すごくリラックスできました。
レース当日はスタートが午後ということもありゆっくりと会場入り。身体に刺激を入れるために強めにウォーミングアップしてからスタート台へ。少し気になるのは香西さんが自分の1分後スタートで追って来ることですが、事前の準備がしっかりできているので、スタートしたら予定通りに走るだけです。
序盤で飛ばし過ぎないように意識してスタート。よし、予定通り!!と思ったところグレーチングの段差でボトルが飛んでいきました…まだ5分も走ってない(笑)。「今日結構暑いぞ」と少し動揺するも自分は暑さに強いし大丈夫か、とすぐに持ち直しました。1周目終わって10秒ほど香西さんから遅れていると無線が入ります。思ったよりパワーが出ていないしキツイ。しかし無理にでもパワーを上げないと香西さんに勝てない…ということでパワーを上げてみると、不思議なことに1周目よりキツさを感じません。ペースを上げて2周目を終えるところで無線が入り「香西さんから3秒リード」これはしびれる展開です。3周目はかなり集中でき、きついけど踏める良い状態。長く長く感じられる最終ストレートを踏み切ってゴール。
「香西さんには勝ったよ。ホットシートだからすぐに帰ってきて!!」目標達成で安心しながらホットシートを目指して帰ろうとするも退場の動線が長すぎてたどり着けません。そうこうしている間にトップタイムも塗り替えられて幻のホットシートに。結果は13位ともう一歩頑張りたいところですが、今回のベストは尽くせたし、それなりに満足できるレースになりました。ということで、帰りは「なぎさドライブウェイ」に寄ったり、気になっていた「ひっぱり餅」を購入したりと充実した遠征になりました。
来年もぜひチャレンジしたいと思っています。そして今週末は全日本ロード。こちらも頑張るので応援よろしくお願いします!!
宮澤監督から
2日前に会場である石川へ。今回は才田選手のみのサポートとなった。
才田選手の改善点は、まず「右足の大腿四頭筋だけ走行中に疲労感が増していき、臀筋が支えている感覚がない」という点。これはサドルポジションを後ろに下げてロードレースに近いポジションで対策。二点目は「空気抵抗をできる限り減らし座り直しを減らす」こと。これもサドルを下げることで頭が背中のラインから出にくくなり、座り直しが少なくなった。三点目は「リラックスしたハンドルポジションをとる」こと。DHバーの高さを1cm上げ、余裕があれば身体を小さくしてエアロポジションを取りに行く。
コースレイアウトを見て、実際に走って感じたのは上りのペース配分を考えること。レース序盤の2段坂は1段目を登り切っても2段目までダラダラと上りが続く。3段目は上り切ってからすぐに下らず平坦が続く為、疲労した状態から速度を上げて行く。5番目の上りも同じく上り頂上から平坦でスピードに乗せて行く。3周と周回こそ少ないが、ペダルの回転数を一定にして走り続けるコースではない。
今回も才田選手が装着しているLEOMO TYPE-Rから送られてくるデータをリアルタイムで確認しながら才田選手に声をかけて行く。主に見たのはパワー・回転数・胸に付けたTorsoセンサーによる前傾角度。前傾角度については受ける空気抵抗を減らす意識をさせ、平坦では9度の前傾角度、コーナー手前でも12度ほどでレースが進む。
1周回目はリズムに乗るまでは無理をせず、上り後の加速を丁寧に行なった。2周回目はFTP近くのパワーに近ずけて1周回目よりもプッシュして行く。3周回目に入り残すところ18分の走行のみ。平坦で維持できる最大限の努力と、上りで上体を上げて呼吸をしやすくしながら回復とプッシュを同時に行う。
結果は周りの選手を見ても前年より前進することができたと思う。加えて今回は個人タイムトライアルで速く走るためのアプローチの仕方、選手がパフォーマンスを発揮する為のポジショニングなど、多くの事を試すことができた。
才田選手には今週末のロードレースでの結果の方に期待したい。
PHOTO REPORT
前日の監督・ライダーズミーティング前に爽やかに登場した才田選手。空の青さが濃い良いお天気。風は海の近さを感じさせる重めの風でしたが、明日は穏やかな予報。
スタートを待つ才田選手…あれ、すでにヘルメットズレてる気がします(汗)。
©️Nobumichi KOMORI/HATTRICK COMPANY
©️Nobumichi KOMORI/HATTRICK COMPANY
才田選手の1周回目。コンパクトなフォームで向かってくる。宮澤監督も追走車両からLEOMO TYPE-Rのデータチェック。このレースは無線が許可されているのでリアルタイムに指示が出る。
ライバル香西選手は才田選手のすぐ後ろスタート。1周回目は差を縮められてしまう。
2周回目の才田選手と香西選手。香西選手の方が前傾が深いように見えるが、才田選手は呼吸のしやすさと前面投影面積のトレードオフを狙った。
3周回目が最終周回。陽が傾きつつある中で最後のチカラを振り絞る才田選手。
Text: Naoto SAITA and Takashi MIYAZAWA, Edit, Photo&Comment: Kensaku SAKAI/FABtroni+camera