07OCT.2018@第4回JBCF南魚沼ロードレース(第52回JBCF経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ), JPT #22
第4回JBCF南魚沼ロードレース
(第52回JBCF経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ)
– 新潟県南魚沼市/三国川ダム周回コース –
12km/10周回+2km 122km
1位 フランシスコ・マンセボ・ペレス(マトリックスパワータグ) 3:14:20 av37.60km
2位 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ) +00:00
3位 横山 航太(シマノレーシング) +01:03
4位 入部 正太朗(シマノレーシング) +01:07
5位 増田 成幸(宇都宮ブリッツェン) +01:13
6位 木村 圭佑(シマノレーシング) +01:40
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18位 小嶋 渓円(LEOMO Bellmare Racing Team) +02:57
DNF 岩瀬 照(LEOMO Bellmare Racing Team)
DNF 米谷 隆志(LEOMO Bellmare Racing Team)
DNF 才田 直人(LEOMO Bellmare Racing Team)
前週の台風24号に引き続き、今度は台風25号の影響を受けた新潟県南魚沼市でのレース。日本海から流れ込む湿気が八海山にぶつかり、朝から断続的に雨粒を落としていく中でのレースとなった。このレースには「経済産業大臣旗」がかかっており、Jプロツアーの中で最もランクの高い重要である。雨の会場に到着した選手達はすばやくテントを立て、ローラー台で脚を回す。寒い中でのレースが想定されるため各選手ともにこの日は入念にウォーミングアップ。雨の下りと寒いレースが不得意な才田選手だが、このレースに対するモチベーションは高い。小嶋選手と岩瀬選手も調子を上げて来ているが、米谷選手だけが風邪気味で少し心配な状況。
レース序盤からペースが速く2周目にはマトリックスのマンセボ選手がアタックするという異例の展開。そしてここにLeomo Bellmare Racing Teamから米谷選手が乗った。ブリッツェンとマトリックスが2名ずつに加えてシマノとLEOMOが1名ずつと主力チームの逃げに入り、メンバーも良いのでこのまま逃げ切る可能性も高い。1周18分台と速いペースで進む逃げ集団も4周目頃から落ち着き始めて1周19分台で進む。
体調が悪い才田選手は2周目の上りから集団から遅れてしまい、寒さも追い討ちをかけて体が動かない様子。風邪の影響が心配された米谷選手は、10周で争われるレースの半分を過ぎたあたり、それまでテンポよく走っていたが先頭集団からドロップ。雨も強くなったり弱くなったりし気温も低いことを考えるとリタイアしてもよかったが、最後まで走り切ることを選択する。メイン集団をシマノがコントロールする中、小嶋と岩瀬の両選手が残っている。集団の中では集中力もあり後半に期待されたが、岩瀬選手が残り3周でドロップ、集団には小嶋選手のみが残る状況となった。
迎えた最終周回、15名ほどの集団で最後の登りへ入るが、ペースアップした集団はバラバラになる。その中に小嶋選手が残れたが足が攣ってしまい集団から遅れてゴールとなった。米谷選手と岩瀬選手は2人ともに最終周回の残り2km地点での足切りとなり完走はならなかった。
才田選手レポート:
モチベーションは高かったが、雨の路面や集団に恐怖心が上回りレースが安定する前にドロップ。不完全燃焼なレースになってしまったが、怪我なく終われたことにホッとした気持ちもある。自分以外の若手3人が頑張ってくれたことが心強かった。今シーズンも残り2戦。継続してコンディションを整えて臨みたい。
米谷選手レポート:
ゴール前に長めの登りがあり、後半戦では秋吉台に次いでタフなコースである南魚沼は狙っていたレースの1つだった。しかしレースの週に風邪をひいてしまい思うように回復できずに体調不良を引きずったまま当日を迎えた。強力なメンバーや大きめの逃げがそのまま逃げ切る展開が多いコースなので、序盤から逃げのメンバーに注意し、特にきつい展開の後の動きには躊躇せず対応しようと考えた。体調を考えれば集団内で耐えながら終盤に備えるべきかもしれないが、意外と体が動くかもしれないし、着を狙える動きに絡んで積極的に走りたいと思った。
1周目から有力選手含むアタックが相次ぎ、マンセボ選手(マトリックスパワータグ)を中心に逃げが形成された。その後ぱらぱらと追走が出て、このまま全て前に合流すると10人近くなりそうだった。多過ぎると感じ、ダム復路の時点で見える範囲に合計4人の追走が出ていたのでそこに追いつこうとアタックした。抑えのマトリックスを先頭に集団がついてきてしまったが4人を吸収、先頭も近づいたことで集団が活性化し、登りで振り出しに戻った。
2周目にカウンターで10人程が抜け出したが、まだ余裕のある選手が多く、KINANがこの逃げを容認しない姿勢を見せていたので対応しなかった。小嶋と岩瀬と固まって位置取りして下って登りに入った。この時に才田さんが恐らく集団にいないことを岩瀬から伝えられた。逃げは登り口で見える範囲におり、登り途中で吸収した。
3周目に入る登りをブリッツェン、マトリックスを先頭に速いペースで岩瀬と前後してこなし、集団前方にいる選手が絞られた苦しいところからゴール手前でマンセボがアタック。10番手あたりにいて反応できず、同じく対応できなかったシマノレーシングの動きを見ると湊選手がアタック。反応してさらに踏んでいくとホセ選手(マトリックスパワータグ)と湊選手との3人の追走になった。湊さんが苦しそうであまり引いてくれず、どうしようかと思っているとホセ選手がアタック、これに反応すると湊選手が切れた。ホセ選手と2人になってしまい、ホセ選手と同じチームのマンセボ選手が前にいるため、ここは自分ひとりのチカラで追いつくしかないと思っていたが、意外にもホセ選手が回ってくれたため復路に入る前に逃げ集団に合流した。
復路の半分あたりで湊選手も追いついてきて、マトリックスのホセ選手とマンセボ選手、ブリッツェンの雨澤選手と岡選手、シマノレーシングの湊選手、KINAN Cycling Teamの山本元喜選手と自分の7人になる。
全員苦しいだろう場面で抜け出したためか、タイム差は一気に1分以上に開いた。マンセボ選手が強力に長引きし、湊選手と岡選手は短めのローテ、元喜選手は4周目途中まで着き位置、その後も短めだった。KINANの戦略として吸収して勝負したいのだろうと解釈した。自分は補食を食べながら休んだりしつつ引き過ぎないように注意して距離をこなした。寒い上に雨なので、宮澤監督の指示もあり固形物も含め意識して多めに食べた。途中で沿道からの声で才田さんが集団に居ないことも確認した。
5周目に入るまでは余裕があったが、5周目往路あたりから体から力が抜けるような嫌な感覚が始まった。前で引く時間を短くし、補食を食べたが回復せず、6周目に入る登りでペースについていけなくなり千切れた。追いつける体の状態になかったので、割り切って回復しつつ集団を待ち、復路に入るトンネルで吸収された。メイン集団に戻るとシマノレーシングがメイン集団を牽いており、逃げ集団内で湊選手がローテに入っていたのに意外だった。逃げのメンバーと立ち回りからブリッツェンとマトリックスは前で勝負する動き、動くとしたらシマノとキナンだと考えてこの2チームに注意するように小嶋と岩瀬に伝えた。なるべく3人でまとまって走るようにしていたが、岩瀬が上手く位置取りしていて余裕もありそうだった。7周目の登りで小嶋がチェーン落ち。近くにいたので緩斜面を待って小嶋を押して復帰させようとしたがチェーンは戻らず、手遅れになる前にすぐ降りて直すように伝えた。登り切りを過ぎた辺りで小嶋が復帰し落ち着くよう声をかけた。
一旦回復させた脚もペースアップとともに苦しくなってくる。8周目のダムの往路で番手を下げ、そのまま集団後方で登りに入ってしまい耐えられずに切れた。既に脚はなく寒さと体調から少し吐き気もあってペースは上げられなかった。出せるだけのペースを刻んだが最終周回の残り2kmで足切りとなった。
まず、体調を整えて望めなかったことに悔いが残る。最終的に勝ち逃げとなる集団に狙い通り入れたので、万全の状態で全力を尽くしたかった。体調管理も実力なので、言い訳にはできない。また7人の逃げの中でもっと引かなくてもよかったかもしれない。マトリックスが主導権を取って逃げ切ろうとしていたので、言わば格下の選手である自分が多少引けなかったところで文句は言われなかったはず。雨澤選手の引く時間を目安にしたが、逃げで長く生き残った元喜選手さんはさらに短時間だった。さらに8周目は小嶋と岩瀬のポジションを上げて登りに入るべきだった。集団に戻った時点でもう今日勝負できる脚ではないと感じていて2人にも伝えていた。自分で勝負できないなら、次の登りで苦しくなりそうだと感じた時点で、下りに入る前の位置取りを手伝うことで最後の仕事ができたはずだし、そうすれば岩瀬も生き残れたかもしれない。このあたりはコミュニケーション不足だったと思う。
狙い通りに苦しい局面からの動きに乗り、勝ち逃げに入れたことは収穫だった。多くの選手が苦しそうで、動きたくても動けない人もいる場面で攻撃に出られたことは自信になる。やいた片岡ロード・秋吉台ロード・南魚沼ロードと最終的に勝負できる集団に3回残り、展開が決まるときの雰囲気が掴めてきたような感覚はある。また、逃げにブリッジする時にホセ選手の協力が得られたことに驚いた。湊選手が落ちてホセ選手と2人になった時、自分を振り切るのではなく回ってくれた。勝負になれば確実に振り切れるという打算はあっただろうが、邪魔者として切るより逃げでの戦力になるとカウントされたのかもしれない。こういった協調を得られるようになったのは進歩だろうし、今後逃げやすくなると思う。ただ、いつでも振り切れる選手扱いなのはどうかと思うので、勝負できる力を磨いていく。あとマンセボ選手と逃げられたのは良かった。体幹が圧倒的に大きく、反対に脚、特に膝下は驚くほど細い。力が入っている感じはしないのにトルクがかかっており、終始余裕で底知れない感じがした。3周程だったが貴重な経験だったと思う。ジャパンカップオープンまで気持ちを切らさずに調整する。
小嶋選手レポート:
一週間前にひいた風邪も完治しており、調子もまずまずの状態だった。スタートして登りに入り山本元喜選手(KINAN Cycling Team)がアタック。元喜選手は必ず逃げに入るだろうと思いその動きに反応した。そのまま元喜選手と少し先行したままフィニッシュラインに。そこでマンセボ選手(マトリックスパワータグ)がアタックをしてそれに元喜選手が反応。この動きにはキツくて反応できなかった。そのままアップダウン区間は先頭から15番手以内で通過。2周目の登りもペースは速かったがまだ余裕があった。ただ、下りでポジションを下げてしまい、登り口まで前に上がる為に脚を使ってしまった。登りに入ると再度アタックがかかりキツい状況。何とか耐えたがフィニッシュラインまで残り1kmで集団から千切れてしまった。その後に遅れた集団でローテを回してメイン集団に追いついたが、その時点で既に逃げを容認しており、メイン集団の動きは止まってしまっていた。
そこからはシマノレーシングが淡々と前を牽いており、自分と岩瀬はKINANの後ろに2人でポジションを取るようした。特に動きも無いところに、逃げ集団からドロップした米谷さんも戻ってきた。ただ、7周目にチェーン落ちをしてしまい、復帰するのにまた脚を余計に使ってしまった。9周目からまたペースが上がった。脚がつりそうになるが何とか耐えた。ただ、最終周回は登りまでは耐えれたがアップダウン区間で少しでも踏もうとすると脚の至る所がつりそうになる。結局登り口で切れてしまいそのままゴール。
最初の元喜選手のアタックには反応せず、登り切ったあとのアタックを警戒するべきだった。また、下りで毎回ポジションを落としてしまい、登り口までに集団の前に行くことも脚を使ってしまった。下りに入る前にもっと集団の前方で通過すれば楽は出来ていたと思う。そういった積み重ねが脚に来てしまった。もう1つ、3周目のペースアップに耐えられなかったのも問題だと思う。
次戦のジャパンカップオープンは今季最後のレース。コース的にも得意なので最後はしっかりと結果を残したい。
岩瀬選手レポート:
アップで脚回した感じ調子良く感じていた。先週の国体ロードからのコンディションを上手く徐々に上げて来れた。レースは1周目からかなりハイペースで3周目には3-40人位まで減った中、スタートから落ち着いてハイペースの中でも自分のリズムを作って集団前方でこなせていた。3周目から5人程の逃げが決まり、集団はペースが落ち着つく。4周目の登りでペースが上がり集団は2つに割れたが、危機を感じて早めに踏んだので前の集団に入ることができた。この辺りの判断は冷静に考えて走れていたからこそだと思う。
その15人程の集団から米谷さん含む2-3人がアタックして逃げの5人を追走していく。この追走を集団は見送ってまたペースが落ち着き、登りで遅れた後ろの集団と1つになった。その後の各周回登りはメイン集団の前々で走れていたので比較的楽に走れたが、裏の平地はコーナーで滑る恐怖から位置を下げてしまって踏み直すことの繰り返し。7周目に入り、宇都宮ブリッツェンのペースアップに耐えきれずに千切れた。そこから3周程をメイン集団からちぎれたグループで完走を目指したが最終周回の残り2kmで足切りになった。
完走はできなかったものの終始集団前で走ることができていたので、人数絞られた集団に残ることができた。ちぎれたのは単なる実力不足。でも、集団の中での走りや、登りの感覚など自信に繋がる部分も沢山あった。最終戦ではあるがJPTの中で一番うまく走れたレースだったと思う。地元新潟での開催で名前を叫んで声援を送って下さった方々の応援がなければ踏ん張れなかった。せめて完走という形でお返ししたかったがDNFという形になって悔しい結果に終わりました。悔しいけれど常に前で走れたりと自信につながる部分もあったので手応えを感じている。これからも精進していき、熱い走りができるよう頑張りますので引き続き応援宜しくお願い致します!!
宮澤監督から
最終戦は経済産業大臣旗ということもあり、各チーム攻めの展開となった。集団の中に居たとはいえ、前半の動きに乗って最後まで走れた小嶋は自信にもつながっただろう。米谷が前半の勝ち逃げに乗れた事は秋吉台ロードから自信をつけた結果と見ている。米谷の風邪は残念だが来年へのアプローチをしっかりとして、前半から結果につながる走りを期待する。才田は体調を合わせられなかった事は残念。今後のレースでの位置取りの克服と体調が悪くても出来る仕事の幅を増やして欲しい。岩瀬は登坂力という武器をさらに磨いて飛躍的に強くならなければならない年齢に差し掛かってきた。来年へ期待。
才田 -¥13,000
米谷 ¥22,000
小嶋 ¥18,000
岩瀬 ¥16,000
PHOTO OF THE DAY: このレースの評価は米谷選手が一番高かったが、小嶋選手と岩瀬選手も熱い走りを見せてくれた。
PHOTO REPORT
ダム周回コースの最深部を進む3選手、米谷選手もメイン集団に戻った。
最終周回で追走集団からドロップした岩瀬選手だったが粘りの走りを見せた。
フィニッシュラインに現れたのは小嶋選手ひとり…岩瀬選手と米谷選手は完走まで残り2km地点で足切りとなってしまった。
Text: Kensaku SAKAI/FABtroni+camera and Takashi MIYAZAWA, Edit, Photo&Comment: Kensaku SAKAI/FABtroni+camera