06JUL.2019@第1回JBCF東広島サイクルロードレース, JPT #10
第1回JBCF東広島サイクルロードレース
– 広島県東広島市/広島⼤学周辺特設コース –
5.5km/17周回 93.5km
1位 岡 篤志(宇都宮ブリッツェン) 2:21:42 ave39.58km
2位 黒枝 士揮(TEAM BRIDGESTONE Cycling) +00:11
3位 湊 諒(シマノレーシング) +00:13
4位 谷 順成(VICTOIRE 広島) +00:15
5位 橋本 英也(TEAM BRIDGESTONE Cycling) +00:17
6位 ホセビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ) +00:20
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8位 米谷 隆志(LEOMO Bellmare Racing Team) +00:20
19位 才田 直人(LEOMO Bellmare Racing Team) +01:03
32位 岸 崇仁(LEOMO Bellmare Racing Team) +02:01
DNF 岩瀬 照(LEOMO Bellmare Racing Team)
DNF 中川 由人(LEOMO Bellmare Racing Team)
前週に全日本選手権を終えた国内サイクルロードレース・シーンは再びJプロツアーへ。今回の広島ラウンドの初戦は初開催となる第1回JBCF東広島サイクルロードレース。7月6日(土曜日)にJプロツアー第10戦として開催された。コースは東広島市に位置する広島大学の東広島キャンパスと周囲の道路を使用した5.5kmの周回コース。コース後半に設定された15%の登りを含む登り区間が勝負所になる。
梅雨入りから雨のレースが続いていたが、今回の広島ラウンドは久しぶりの晴天。青空の下、明るい表情の選手達がスタートラインに並んだ。Jプロツアーは5.5kmの周回コースを17周する93.5kmのレース。スタート直後の登坂区間からアタックがかかり、5名の逃げが1周目のフィニッシュラインを通過して行く。2周目にはさらに追走がかかり計13名の逃げ集団が形成された。
3周目以降は逃げとメイン集団でレースが展開したが、逃げ集団内では分裂と合流が繰り返され、メイン集団でも追走が度々出ては吸収されるという落ち着かないレースとなる。残り3周となった15周目に集団は一度一つにまとまるが、それまでのサバイバルな展開で人数は20人程に。続く周回の間にも細かいアタックが続き、米谷選手も残り2周目で集団先頭から飛び出す動きを見せる。しかし全てのアタックは吸収され、レースは最終周回へ。
最終周回に入るタイミングで入部選手(シマノレーシング)と橋本選手(チームブリヂストンサイクリング)が飛び出すと、そのまま勝負所となる最後の登り区間を迎える。ここで飛び出したのが岡選手(宇都宮ブリッツェン)。先行する2人を抜き去り、追いすがる黒枝士揮(チームブリヂストンサイクリング)を振り切って頂上を単独で通過すると、そのまま下り区間を走り切り、独走での優勝となった。LEOMO Bellmare Racing Teamは逃げに乗るタイミングを逸し、終始メイン集団内でのレースとなる。それでもサバイバルな展開を何とかクリアし、最終盤まで才田・岸・米谷の3選手が勝負集団に残った。
激しい展開となった東広島サイクルロードレース。集団内の詳しい展開レポートが米谷選手から届いていますので、今回は(も)米谷選手のレポートを掲載します。
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スタート後、リアルスタートする前から集団内は落ち着かず、序盤はコーナーごとに選手が絡んでいるような状況でかなり怖く、位置を下げた。1周目から有力な選手が飛び出していくのは確認したが、自分は対応できる位置に居らず。2周目の登りは中腹までは集団前方に位置取りし、飛び出した人数が10人を超えたところで自分も動こうとした。しかし、コーナーのイン側にいたことで前を閉められてしまい、追走集団を見送ることになる。
メイン集団はチームブリヂストンサイクリング(以降、BS)がコントロールを開始。しばらくすると逃げから何人か降ってきたので、前は落ち着かない状態だと推測。協調が取れておらず、メインをBSがコントロールするなら逃げ切りの可能性は低いと感じた。そのまま周回を重ねると集団の人数が減って走りやすくなる。なるべく才田さんや岸さんの近くに位置取るようにした。9周目の登りで10人ほどがアタック。才田さんがギャップを埋めようとしていたので後ろにつかせてもらい、速度が落ちたところでジャンプして前に合流したが、すぐに集団もつながった。これ以降メイン集団でも動きが出るようになったが、相変わらずBSがコントロールの意思を見せていたので、少人数なら静観、まとまった数なら反応していく。
残り3周で振り出しに戻り、そこから飛び出した4人も主にBSの選手の牽引で残り1周半で吸収。吸収のタイミングでのカウンターか、登りで動くか迷ったが、登り一本に絞ることにした。麓から同じタイミングで踏んだブラーゼンの選手とアタック。上まで踏み続けると集団は半分ほど、20人ぐらいまで絞れた。近くで登り始めた才田さんがいないのは誤算だったが、余裕のある選手が意外と少なかった。
平坦区間での入部さんと橋本さんの動きにはあっという間に差が開いてしまって対応できず。最後の登り勝負と決め、ホセ選手をマークして登りに入ると、1人だけ段違いのスピードで岡選手がアタック。ホセ選手が少し垂れて詰まったところで自分の後ろで落車音がし、それを気にした隙に岡選手との差はさらに決定的に。踏み直して登り、下り切った時点で4人の6位グループになった。ブラーゼン中村選手が先頭、2番手自分でスプリントに入り、しっかり待ってから抜きに行こうと左に出たタイミングでホセ選手に抜かれ、一瞬踏み止めてしまったために中村選手を差し切れず、8位となった。
PHOTO REPORT
久々の晴天、そして多くの観客の中、第1回JBCF東広島サイクルロードレースがスタート。
序盤は前々で展開していくが終盤に遅れてしまいDNFとなった岩瀬選手だが、痛みが出ることもなくこの日のレースを終える事が出来た。
レース中盤のメイン集団はチームブリヂストンサイクリングがコントロール。トップチームのすぐ後ろに位置取る岸選手と米谷選手。左隅に才田選手のヘルメットも。
集団前方で最終周回に入る米谷選手。最終盤で勝ちを狙う動きを見せるも岡選手(宇都宮ブリッツェン)の先行を許してしまった。
RIDERS REPORT
才田選手:
試走後の感触としては、2分の坂を17回登るということと暑さも重なれば相性は良いかなと感じていた。S/F地点直後のUターンがレース展開にどう影響を与えるかが不安要素。
いざレース本番となるとUターンで集団が引き延ばされるが、集団前方に上がることは難しくなく走りやすい良いコース。ただ体感的に余裕は無く、周囲がよく見えていたかというと厳しかった。序盤のジャブのようなペースアップに今日の勝負は難しいかなと感じていたが、中盤以降、集団に残っていた米谷と岸もキツイとの事。出来るだけまとまって走りながら、最終局面で行けそうな選手で勝負するしかないなぁという状況。結局米谷が登れていたので、ラスト2周の登りでギリギリ切れてしまったのが、これはやってはいけないミスだった。とは言え、久々にチームでまとまって走れた感覚はあり、春先の良い感覚を群馬で掴んで、それっきりになってしまった反省を活かして後半戦に繋げたい。
岸選手:
初心に戻り、全日本選手権から心臓に負荷はかけずにLSDを中心に行って広島へ移動。久しぶりに晴れのレースで気持ち的にも良い。前日、ロードコースの試走をしてみても調子も悪くないと感じた。コース自体は流れるコースで、いつも通りレースは前々で展開していく。すぐに逃げが決まりセオリー通りな展開。走っている間もかなり調子は戻ってきた事を感じた。だが、まだインターバルがかかるとしんどく、最後の勝負は出来ないと判断。才田さんと米谷と話して2人に託すことに。2人にボトルを渡し、ラスト2周の登りで集団から脱落しての完走。
米谷選手:
調子は悪くなく、コースは聞いたよりもタフで、終盤にかけて集団が小さくなることが想像できたので、自分にもチャンスはあると感じていた。集団有利だが逃げの内容によっては行ってしまう可能性もあると感じ、序盤は逃げの内容に注意して逃げるかどうか判断し、終盤にかけてチームで協調して対応しようと考えた。宮澤監督からは、登りを少なくとも集団40番手でクリアしないとその後の展開が苦しくなること、バンプのある左折の後に集団がつまる時に前に上がれる位置で走ることを指示された。久々の暑いレースだったのでボトルを2本持ってスタート。この判断で後に救われる事に。
暑かったのでなるべくこまめに補給をとろうと、補給開始からほぼ毎周取りに行った。しかし、ことごとく失敗。途中から宮澤監督が取りやすいようにとサコッシュにしてくれたが、焦りもあってそれすらも取れなかった。2本のボトルも飲み尽くし、他の選手から少しずつ分けてもらったり、しまいにはほぼ最後の補給で岸さんにとってもらったボトルを分けてもらうことでなんとか助かった。自分が補給をとれていないことは伝えていたが、代わりにとってもらえないかは頼んでいなかった。そのぐらいに困っていることは伝えてもよかったと思う。そもそも自分で補給をとれなかったこともとても良くない。比較的補給地点でのスピードは速めだったが、他の選手はちゃんと取れていた。レース後に補給の取り方を改めて教えてもらったので、次のレースからはそれを実践する。
皆がフレッシュな序盤は自分は意外と苦しく、一度才田さん、岸さんと互いの調子を確認した時は3人ともあまり良くないという答えだった。中盤以降周りが疲れてくると、登りで動きやすくなっていった。今回は、レース中のチーム内でのコミュニケーション不足が大きな反省。中盤に才田さん、岸さんと互いの調子を確認しただけだった。才田さんとは終盤にかけて連携して位置取りできていたと思うが、互いの狙いや状態は確認していない。そこを怠らなければ、残り2周で自分が動いた時に前の集団にチームメイトが残れていたかもしれない。
満足して良い結果ではないが、久しぶりの一桁順位に正直ほっとした。那須クリテで復帰してから、石川・広島で勝負に絡むことを目標にしてきた。今回はゴール勝負にこそ絡めなかったものの、自分をきっかけに集団を半分に減らすなど終盤に動いた上でのこの順位は励みになる。少なくとも、久しぶりにレースを動かすことが出来たのは収穫だし、楽しかった。
岩瀬選手:
体の感覚は良かった。今回のレースで良かった点は、位置取りも良く、登りを集団前方でクリアしながら走り続けれたこと。悪かった点は、単純に脚が足りずに踏めなくなり、残り8周目あたりの登りでドロップしたこと。いつもの感覚で踏んで温存していたつもりだったけれど、脚が一杯になったのはコンディションの低さと練習不足。
中川選手:
前日はかなり脚が重かったが、脚を回していくうちに軽くなっていった。レースの周回数が多いので登りで脚が無くなっていくだろうなと思った。
レースがスタートして、1周目の登りからかなり速く感じ、危うくちぎれるところだった。逃げが決まれば落ち着くと考え耐え続ける。180度コーナーでは車間を切る、アウト側を意識して走って立ち上がりで脚を使わないようにした。2つある90度コーナーでも同じように意識した。そして、余裕が少しある時はインから番手を上げた。補給所後の平坦区間で毎周回緩むので、そこで番手を上げることに集中した。しかしその後の上りでどうしても番手を下げてしまう。ペースが落ち着いてからも登りのキツさは変わらなかった。9周目の登りで少しペースが上がり、また自分の集中力も切れかかっていたために集団から遅れた。ある程度の時間と強度だと集中力が切れてしまうので、そのあたりも改善していく必要がある。
宮澤監督から
今回初のレースは厳しいコースだが、比較的流れるコースなのでチームには向いているレースだった。岸、才田、米谷が集団で走る中、ボトルが取れないという前代未聞のレースとなった。5周取る事が出来ず、岸が米谷にボトルを渡したが、チーム内のコミュニケーションと、ヘルプに入る気遣いが出来なかったレースになってしまった。後半動けた米谷だったが、最後は集団を勝ち逃げにするほどの強い攻撃を仕掛ける所まで行かなかった。とはいえ、レースが見え、自分から仕掛けられる体調まで戻ってきた事は良いニュース。岩瀬はエカーズの走りを見本とし、攻めの走りができるように戦う事が大事。
PHOTO OF THE DAY:
才田選手と岸選手が揃って登っていくシーンをやっと見れた気がする。
Text: Kensaku SAKAI/FABtroni+camera × P.A.V. and Takashi MIYAZAWA, Edit, Photo&Comment: Kensaku SAKAI/FABtroni+camera × P.A.V.