30AUG.2020@第54回JBCF西日本ロードクラシック広島大会,Day-2, JPT#09

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第54回JBCF西日本ロードクラシック広島大会 Day-2
広島県三原市/広島県中央森林公園サイクリングコース
12.3km/12周回 147.6km
(※熱中症対策のため10周回120kmに変更)
 

1位 阿部 嵩之(宇都宮ブリッツェン) 3:07:02 ave39.45km
2位 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ) +00:00
3位 トマ・ルバ(KINAN Cycling Team) +00:01
4位 柴田 雅之(那須ブラーゼン) +00:19
5位 孫崎 大樹(TEAM BRIDGESTONE Cycling) +01:11
6位 レオネル・キンテロ(マトリックスパワータグ) +03:50

23位 門田 祐輔(Hincapie LEOMO Bellmare Racing Team) +05:10
DNF 米谷 隆志(Hincapie LEOMO Bellmare Racing Team)
DNF 小畑 郁(Hincapie LEOMO Bellmare Racing Team)
DNF 石原 悠希(Hincapie LEOMO Bellmare Racing Team)
DNF 小林 弘幸(Hincapie LEOMO Bellmare Racing Team)
DNF 小山 智也(Hincapie LEOMO Bellmare Racing Team)
DNF 永塩 幸之介(Hincapie LEOMO Bellmare Racing Team)

 
 

RACE REPORT


 

Jプロツアー今季第4ラウンドとなった広島ラウンド。2日目はJプロツアー第9戦となる第54回JBCF西日本ロードクラシック広島大会 Day-2が開催された。初日は全長61.5kmのスプリント・レースだったが、2日目は1周12.3kmの広島県中央森林公園サイクリングコースを12周する全長147.6kmの長丁場。ただ、前日から30℃を超える高い気温が続く中、熱中症対策としての大会主催者からレースディスタンスの短縮が発表され、12周から10周123kmへと変更された。Hincapie LEOMO Bellmare Racing Teamからは、米谷・小林・永塩・小畑の国内組4選手と、UCIコンチネンタルチーム(Hincapie–Leomo p/b BMC)に所属する石原・小山・門田の3選手が出場した。

 

この日の狙いは、良いメンバが動いたタイミングで小林、永塩、門田の3選手を逃がす展開にすること。3人がレースを見ながら判断する様にとの監督の指示だった。

 

しかし、この日のレースは1周目で決まった。

 

1周目スタート直後のの下りから登り返しの区間で数名が逃げをスタート。さらに数名がジョインして行き、ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)、トマ・ルバ(KINAN Cycling Team)、阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)、柴田雅之(那須ブラーゼン)、孫崎大樹(チームブリヂストンサイクリング)、吉田隼人(マトリックスパワータグ)といった強力な6名が逃げ集団を形成した。小山・小畑・門田の3選手はこのアタックを目視していたが、狭い道幅や「集団も流石に1周目からの逃げを許容しないだろう」という油断で対応できず。調子の上がっていなかった石原選手も「前に上がるのも一苦労で集団のなるべく前にいる様にはしていたが、後追いのトマ・ルバ選手など数名が抜け出したのを確認することが出来ずに逃げを行かせてしまった」。また、米谷・永塩の両名は下り区間での落車に巻き込まれ、小林選手とともに集団後方で逃げの発生を把握することも出来ていなかった。この後、逃げに乗っていないTeamUKYOや他のチームも逃げを捕まえに行く動きや追走グループを作る動きがほぼ見せず、逆に、逃げにメンバを乗せたKINAN Cycling Teamやマトリックスパワータグが集団前方を固め、逃げとの差はどんどん広がっていった。

 

逃げとの差が30秒程度付いた状況での2周目。遅れていた米谷選手らもチームに合流して状況を把握。選手らの判断や監督からの指示もあり、チームで集団先頭に出てタイムギャップを埋める動きを見せる。レバンテフジ静岡から4名、VC福岡から1名、LEOMOから4名で追走を開始し、1周目で3分40秒程あったギャプが3分程度まで縮まるもすぐに逃げ集団に調整されてしまい3分半程に戻る。のちに小林選手が「集団牽引に関しては前で引くメンバーでの意思疎通をしなかったため前を追うという意思が弱くペースが思うように上げられなかった」とコメントした通り、なかなかペースの上がらないメイン集団では「追いつかない」ムードも出始めた。

 

逃げ集団との差が一向に縮まらないレースは、中盤の5周目に入る。三段坂で門田選手が米谷選手にペースアップを依頼。米谷選手はペースを上げてメイン集団の人数を絞りつつ、付いてこれない選手を集団から脱落させるつもりで三段坂の下から上までを踏み続ける。このペースアップで小山・小畑・永塩選手らを集団から切り離す事になってしまったが、レースを動かす意味では必要な動きではあった。

 

続く、6周目、再び落車が集団を襲う。門田選手の直後で発生した落車に石原選手が巻き込まれ、米谷選手も足止めを食らう。一方、落車を回避した門田選手はペースアップを試みるKINAN Cycling Teamとともに集団に揺さぶりをかけ、メイン集団を30名程度にまで減らしていった。一方の米谷選手は同じく遅れていた宇都宮ブリッツェンの選手らと集団に復帰。門田選手と共に集団のペースを作っていく。7周目も集団のペースは上がらず、門田選手が協調を得られないか聞きに行ったが同調するチームはなかった。監督からの積極的にという指示もあり、門田選手は集団でのアタック合戦に切り替え。この動きで米谷選手も力尽きる。

 

8周目の三段坂。門田選手が阿曽選手(eNShare Racing Team)と2人でアタックを仕掛ける。ここで山本元喜選手(KINAN Cycling Team)も加わり、集団がさらに小さくなる。門田選手としてはこのタイミングで逃げ集団を追う意思のある選手らで抜け出したかったが上手く運ばない。9周目も引き続きアタックと吸収が繰り返される悪循環となり、門田選手も10周目の三段坂で集団から遅れてのフィニッシュとなった。

 

レースは100km以上逃げ続けた先行集団で決まり、スプリントを制した阿部嵩之選手(宇都宮ブリッツェン)が久々の優勝を飾った。チームとしては1周目の逃げに対応できなかった点が最大の敗因。一方で、5周目から7周目まではチームでの組織的な動きを見せた。ここで他チームの協調を得られれば展開が変わった可能性もあるが、そこには他チームとのコミュニケーションも必要だろう。完全に後手に回ったレースではあったが、なんとか状況を打開しようとするチームとしての意思を示す動きを見ることは出来た。

 
 
 

宮澤監督から


 

この日の狙いは、良いメンバが動いたタイミングで小林、永塩、門田を逃がす展開にすること。3人がレースを見ながら判断する様に指示を出していたが、決定的な逃げを行かせてしまうという最悪のスタートで始まった。その後、この傷口が閉じる事なくレースが決まった。
レース中盤、追走のために永塩と小林がメイン集団の牽引に入ったが、レースを進めるためにどのくらいの力が必要かは体験出来ただろう。これまでのレースでは集団の付き位置で切れていたが、この日のような「レースを展開するための力」を身に付けるトレーニングも考えて行かねばならないだろう。
門田は織田聖のアタックに付いて行くべきだった。小林はスタート地点に遅れることが無いように。永塩は集団牽引に参加出来たのは良かったが、その後落車に巻き込まれる位置に居てはダメ。米谷は今回動くべきシーンで動けなかった。石原も勝てる選手の動きとしてはもう少し。門田も期待していたがもう一歩。小畑は集団前方に位置取って展開が見えていたところまでは良い。小山も初日の動きは良かった。
今回はチーム内外でのコミュニケーション不足。そして指示の内容についても選手間で話し合いが持たれていたとは思えない。色々と不足していたレースだったと思う。

 

小畑 +¥3,000
永塩 +¥2,500
米谷  ¥0
小山  ¥0
門田  ¥0
石原 -¥5,000
小林 -¥6,000

 
 

PHOTO REPORT


 

レース前の選手たち。20200830_jbcf_hiroshima01

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スタート前のミーティングに紛れ込む織田聖選手(弱虫ペダルサイクリングチーム)…(笑)。
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この日も熱いレースが予想された。
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スタートから積極的に前々の位置を狙うHincapie LEOMO Bellmare Racing Teamの面々。
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スタートも決まり、集団前方で序盤のレースを進める永塩選手と小山選手。
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強力な逃げ集団を先行させてしまったレース序盤。他チームと連携し、チーム全体で集団牽引に入ったHincapie LEOMO Bellmare Racing Team。
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米谷選手のペースアップで集団からドロップしてしまった小林、永塩、小畑選手。だが、レースを諦めずに前に進む。
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レース中盤の集団落車に巻き込まれてしまった石原選手。この2日間は歯車が噛み合わないレースが続いた。
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終始チームのアシストに力を尽くした米谷選手も7周目でレースから離脱。20200830_jbcf_hiroshima19

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レース終盤、集団でのアタック合戦を繰り広げた門田選手だったが最終周回の三段坂で力尽きた。
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Text: Kensaku SAKAI/FABtroni+camera × P.A.V. and Takashi MIYAZAWA, Edit, Photo&Comment: Kensaku SAKAI/FABtroni+camera × P.A.V.