11OCT.2020@第54回JBCF経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ,Day-2, JPT#14
第54回JBCF経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ Day-2
群馬県みなかみ町/群馬サイクルスポーツセンター
6km/30周回 180km
1位 フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ) 4:38:10 ave38.82km
2位 レオネル・キンテロ(マトリックスパワータグ) +00:00
3位 ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ) +00:06
4位 大前 翔(愛三工業レーシングチーム) +00:08
5位 今村 駿介(TEAM BRIDGESTONE Cycling) +00:08
6位 孫崎 大樹(TEAM BRIDGESTONE Cycling) +00:09
…
13位 門田 祐輔(Hincapie LEOMO Bellmare Racing Team) +00:12
16位 小山 智也(Hincapie LEOMO Bellmare Racing Team) +00:26
20位 石原 悠希(Hincapie LEOMO Bellmare Racing Team) +00:30
27位 米谷 隆志(Hincapie LEOMO Bellmare Racing Team) +01:00
56位 才田 直人(Hincapie LEOMO Bellmare Racing Team) +06:57
61位 小畑 郁(Hincapie LEOMO Bellmare Racing Team) +07:03
DNF 小林 弘幸(Hincapie LEOMO Bellmare Racing Team)
*** 永塩 幸之介(Hincapie LEOMO Bellmare Racing Team)
*** UCI及びJCF競技規則(JCF競技規則第28条3項)により、23周回完了時(138.0km)でレース終了
RACE REPORT
今季Jプロツアーの最終戦は経済産業大臣旗のかかる第54回JBCF経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ。 Jプロツアー第14戦として10月11日の日曜日に群馬県みなかみ町の群馬サイクルスポーツセンターで開催された。大会初日は台風14号接近の影響を受けての中止。台風が通り過ぎた2日目は雲が多めなものの時折日差しの差す中でのレースとなった。全14戦のうち実に6戦が群馬サイクルスポーツセンターで開催されたことになる今季のJプロツアー。この日のレースは180km/30周回となっており、群馬開催の全レースを完走した選手は、今季だけで100周以上を走ることになる(残念ながらチームでは郡馬開催の全レースを完走した選手は居ない)。Hincapie LEOMO Bellmare Racing Teamからは、米谷・小林・永塩・小畑の国内組4選手と、UCIコンチネンタルチーム(Hincapie–Leomo p/b BMC)に所属する石原・小山・門田の3選手。さらにこの日はチームの大黒柱、才田直人選手が出場。今季は怪我による欠場が続いたが、なんとか最終戦には間に合った。
レースは180kmの長丁場ということもあり、通常より早い午前8:50にスタート。開始直後からアタック合戦が繰り広げられ、まず3名、次に2名と抜け出して行く。先行する集団は佐野淳哉選手(レバンテフジ静岡)、前田公平選手(弱虫ペダルサイクリングチーム)、風間翔眞選手(シマノレーシング)、西尾憲人選手(那須ブラーゼン)、永冨一騎(馬グリフィンレーシングチーム)の5名。チームは有力な動きには対応できるよう集団内に位置取り、この5名の逃げは見送った。この後、集団最後尾付近が定位置の才田選手以外は集団中頃付近で周回を重ねていたが、5周目に永塩選手が機材トラブルでストップ。Mavicカーから代車を受け取ってレースに復帰し、集団の速度が緩んでいた事も幸いして数周後に集団に戻る。集団復帰後、代車から永塩選手自身のバイクに乗り換えるため「集団の前で補給所に入れ」という監督の指示があったが、永塩選手は集団中程で動けず。ここは米谷選手がサポートに動き、集団の前に出られる位置まで永塩選手を引き上げる。この辺りはチームの連携が上手く機能し、無事にバイクを交換することが出来た。
「150km以上のレースを完走したことがなく、正直あまり自信がなかったので、心臓破りの登りきりなど踏まなくてもいい所は流し、なるべくギアもかけず温存に努めた」と米谷選手も心配していたが、集団は先行集団との差を1分半程度に保ちつつ、緩やかなペースで周回を重ねて行く。レース中盤、才田・小畑・小山・小林・永塩の5選手で集団牽引に参加するように監督から指示が入る。先行集団を吸収し、レースを振り出しに戻すべく、まずは小畑選手と小林選手がローテーションに参加。監督から永塩選手もコントロールに入るよう再三指示があるが上手く先頭に入れず、ここも米谷選手がサポートに入り、永塩選手を集団牽引に参加させる。しかし、元々集団をコントロールしていた愛三工業レーシングチームやTEAM BRIDGESTONE Cyclingとの歩調が合わず、集団コントロールが機能しない。小林選手と永塩選手は登りでペースを上げてしまい、他チームの選手に見送られてしまう場面が多々有った。また、小林選手は長牽きし過ぎて自ら消耗してしまう状況に。
レース終盤に差し掛かる20周目付近。チームの集団コントロールが上手く機能しない中、監督の指示がアタックに変わる。しかし、誰がいつ動くのかの指示が聞き取れず、米谷・門田・小山選手らがどうするのか話し合っているところでマトリックスパワータグがいつものペースアップを開始。この動きで序盤から逃げていた5名は吸収され、新たに橋本英也選手(TEAM BRIDGESTONE Cycling)、中井唯晶選手(シマノレーシング)、佐藤遼選手(レバンテフジ静岡)、西尾憲人選手(那須ブラーゼン)の4名が逃げを打ったが、これも有力ではないと判断して集団待機とする。レースは再度逃げを泳がせてコントロールする展開に戻り、マトリックスパワータグが最後までコントロールする雰囲気を見せていたため、チームは最終盤に備える走りに切替える。
レースも最終盤に入ると各チームが散発的なアタックを繰り返す。しかし、そのすべての動きをマトリックスパワータグ、特にマンセボ選手が封じ込めて残り2周に突入。集団前方をマトリックスパワータグ勢が固め、レースは集団でのフィニッシュ勝負が確定的になる。チームは門田選手を先頭に、小山・石原・米谷の4選手が固まって最終周へ。。
思い出されるのは7月の群馬のレース。この時はメンバを集団前方に送り込むことに失敗したが、今回はその反省を生かし、下りを4名の隊列のままこなし、登り返しで米谷選手が門田選手の前へ。門田選手が背後に付いたことを確認した米谷選手は、一気に先頭のマトリックスパワータグ勢の真横まで引き上げ、最後の心臓破りの登坂に入る手前で離脱。門田選手を2、3番手付近で登りに入らせることに成功した。門田選手の背後には石原選手と小山選手も追随。フィニッシュは小山選手をスプリントの位置まで連れて行く算段ではあったが、最後はあまりにも強力なマトリックスパワータグ勢に先行されてスプリント体制に持ち込むことは叶わなかった。
レースはマトリックスパワータグの1-2-3フィニッシュで幕を閉じ、チーム最高順位は門田選手の13位。今季最長距離のレースで6名が完走。永塩選手は規定により23周回完了時(138.0km)でレース終了となったが、その23周を走り切った。小林選手は残念ながら完走とはならなかったが、集団牽引に参加するなど多くの経験を得たに違いない。チームとして最終周に門田選手をほぼ先頭で心臓破りに届けられたことは良い動きであり、今季の積み重ねの成果として見て良いだろう。戦略的にはまとまった集団で最終盤を迎えたこと自体は失敗だったが、最後の局面でマトリックスパワータグと勝負するためには最善の動きだったと思われる。
これで2020年のJプロツアー全14戦(チームは大分ラウンドをキャンセルしたため12戦に出走)が終了。新型コロナウィルスの影響を受け、コンチネンタルチーム組の3名は国内滞在を余儀なくされたが、彼らが参加したことでJプロツアー自体も活性化され、国内組のメンバにとっても「勝つための動き」を体験できたことは将来に向けた大きな価値になると思われる。
宮澤監督から
逃げを吸収するところからチームとして動き、展開をしやすい形を取りたかったが、永塩・小林の集団コントロールを経て、その次の動きが全く出来なかった。唯一良かった動きは最終周回。
米谷が門田を集団前方に引き上げて、門田のために良い位置取りをし、心臓破りの登りでのマンセボのアタックに反応出来た点だろう。前に付いて行けなかったのは門田の力不足だが、最後に良い展開を作れたと思う。小畑は序盤から中盤にチームメイトをまとめ、良い位置で走れるように出来たことも良かった。小山、石原は動きが空回りしてしまった。
門田 +¥10,000
小畑 +¥5,000
小林 +¥3,000
永塩 +¥3,000
米谷 ¥0
小山 ¥0
石原 -¥5,000
PHOTO REPORT
今季最終戦に挑むスタート前の選手たち(最終戦なので多めです)。
怪我と治療といろいろとで欠場が続いた才田選手も最終戦に間に合った。
総合ランキング上位に付ける石原選手は、スタートライン前列でコールを受けた。
スタート直後、アタック合戦で速いペースが続く中、チームメンバは集団中頃に位置取る。
国内組若手の永塩選手と小林選手も上手くスタート。集団内でチームメイトの近くに位置取る。
今季初戦となった才田選手は、いつもと同じく集団最後尾で様子見。
序盤に機材トラブルに見舞われた永塩選手。Mavicカーからのサポートを受け、Mavicの黄色いバイクで先を行くメイン集団を追う。
レース中盤、最後尾にいたはずの才田選手が集団コントロールに参加。続く周回ではメイン集団に戻った永塩選手が集団を牽いていく。
シーズン後半になるにつれ走りが良くなってきた小山選手。主力メンバと一緒に周回を重ねていく。
マンセボ選手(マトリックスパワータグ)の近くに位置取り、有力な動きをチェックしていく門田選手。
マトリックスパワータグのペースアップに序盤に動いた小林選手と永塩選手が遅れ始める。
序盤に動いた才田選手も今日はここでレース離脱。来季は走る姿をもっと見たいところ。
最後までアシストに気を吐いた小畑選手もメイン集団から遅れていく。
レース終盤、散発的に発生するアタックでペースの上がる集団に食らいつく門田選手と小山選手。
マトリックスパワータグ勢の動きを見ながら最終周回に入る米谷選手。この後、心臓破りの登りに向けてメンバを集団先頭まで引き上げる働きを見せた。
今季最後のフィニッシュラインに向け、先行するマトリックスパワータグ勢を必死に追う門田選手。
小山選手と石原選手も続いて最後のフィニッシュラインを目指す。
レースを終えて戻ってきた門田選手と米谷選手。最後のチャンスを逃した門田選手には悔しさが、アシストに尽くした米谷選手には仕事を終えた表情が見えた。
2020年シーズンを走り終えたHincapie LEOMO Bellmare Racing Teamの選手たち。その表情はそれぞれだった。
Text: Kensaku SAKAI/FABtroni+camera × P.A.V. and Takashi MIYAZAWA, Edit, Photo&Comment: Kensaku SAKAI/FABtroni+camera × P.A.V.